会話のない父

私が転勤で家を出た時も話をしませんでした。
それでも野菜やお米を送ってくれ、家を出てその有り難味に初めて気づきました。

その後色々あって退職し、実家に帰りました。
久しぶりに会った祖父は、なんだか小さくなっていました。
元気で帰ってきたな。良かった。と迎えてくれた祖父の笑顔が忘れられません。
それから1年後、祖父は癌で亡くなりました。
私は納棺士の仕事に就いたばかりのときでした。
まだまだ一人では、満足に送ってあげる事が出来ません。
会社の先輩に無理を言って同行して貰い、祖父を送る手伝いをして貰いました。
手が震え、涙が止まらず、でもちゃんと綺麗にして送ってあげたい。
その思いから化粧や着付けを施しました。
自分の家族を自分の手で送る。この経験は、私にとってその後の仕事に影響しました。
どの方を見ても祖父に見えて涙が出てくるのです。
その内に涙を我慢する事は出来るようになりましたが、
どの方に接するときも、自分の祖父だと思うようになりました。
私の送り方は、家族のように接して送るというものに変わっていきました。
この送り方が良いかどうかは解りません。
賛否両論あるかと思いますが、私はこの方法を祖父からのプレゼント、もしくは教えと思いこれからも続けていきたいと思います。